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[ 単行本 ]
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力士はなぜ四股を踏むのか?―大相撲の「なぜ?」がすべてわかる本。
・工藤 隆一
【日東書院本社】
発売日: 2007-05-08
参考価格: 1,260 円(税込)
販売価格: 1,260 円(税込)
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・工藤 隆一
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カスタマー平均評価: 5
観る前に読むとより相撲が面白い と帯に書いてあったが、幼少の頃から相撲好きな僕でもあまり知らない相撲界の歴史やしきたり、給料についてなどわかりやすく書かれていて、本当に観る前に読むとより楽しく、一段階深く大相撲が観戦できると思う。特に一般のスポーツとは異なる部分については読むと大相撲の面白さが理解できる。
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[ 単行本 ]
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横綱 朝青龍
・野村 誠一
【ゴマブックス】
発売日: 2008-09-02
参考価格: 1,869 円(税込)
販売価格: 1,869 円(税込)
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・野村 誠一
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カスタマー平均評価: 3.5
話題によっては敢えて語らない古武士のような美徳が感じられる対談 写真集ということで販売されておりますが、素晴らしいのは、どんな質問にも真摯に語る横綱の対談です。“自分で自分のことを、‘これで満足だ’って思った時点で、人間終わりですよ。これ以上歩く道がないと感じたら、どこも歩けない。“などの発言には横綱の人生哲学が伺えます。バッシングされる理由についてはは、“俺は今、咲いている花だから、この花をいいと思うか悪いと思うかそれは見る人次第だからね。俺はただ、太陽に向かって咲いているだけ。花は喋らないでしょ。応援してくれるファン、親方、家族、友達は俺にとっての太陽。”と答えます。それでは、花の栄養源になる水は何かと聞かれると、“俺のことを悪く書く人が、俺にとっての水かもしれない。”と他人の悪口や自分の弱音というものは殆ど吐かない。そうした質問の中で、何度か例外的に横綱が“それは言葉で言うことじゃねいから”といって答えない質問項目とは、1)母国でのボランテア活動、2)若い衆への世話、3)マスコミに対する反論などです。普通の人間なら、真っ先に自分の長所の宣伝と、敵対者への反論を口にするものですが、この横綱は反対で、話題によっては敢えて言葉では語らない古武士のような美徳が感じられます。“俺ね、もう腹の中は日本人なんですよ。”という横綱は、1)モンゴルでは流れ星は不吉な前兆を表しているとされているのに、星に祈り、2)大鵬や曙らの先輩横綱の助言を肝に命じ、3)床山で最高位に上り詰めた床寿を日本の父と慕います。その床寿の“50年間、この仕事をしてきたけど、取り組み前にあそこまで汗を流す力士は見たことがない。”の言葉は、朝青龍という力士の相撲に対する姿勢を何よりも説明するものです。横綱が日本とモンゴルの両方に限りなく愛情をそそいでいるのは、モンゴルの草原で子供たちと無邪気に一緒に跳ねる素晴らしい写真や、将来、モンゴルと日本の戦争中の間の悲恋を描いた映画を作製したいという夢などでわかります。横綱は、“800年前のモンゴルに行って、殺されるかもしれないけど日本との間の平和の使者になって元寇を防ぎたい。”とまで語ります。最後に、自らの両親を尊敬してやまない横綱ですが、横綱が心にとめているという母親の言葉を引用します。“自分が大きな道になれば、たとえ友達が横道に行ったとしても、必ず帰ってくる。”“その国の水を飲んだら、その国の習慣に従いなさい。” 写真集を見て再起を期待する モンゴルでの子供のような素顔、仲間とジャンプしたり、子供たちと戯れている姿が印象的だ。たしかにまだ20代。「横綱の品格」を求められても難しい年齢だ。しかししたたかな闘志と、前回の問題への深い反省を感じる。再起を期待をしたい。 さっそく買ってしまったw 別に朝青龍のファンでは無いのですが、買ってみようかな…?と思ったのは
モンゴルで撮影された写真に興味を持ったからです。
色んな意味で話題になっているコチラの作品は
今朝のテレビでも少しだけ中身が紹介されてたのですが、コミカルなジャンプをしてる朝青龍の写真。
なんか味があって面白いな?って思いました。
別にデブ専とかそんなんではないのですが、なんかひきつけられ即購入。
そして、実際手にとって見た感想は、写真ちっさ!でした。
テレビでは、朝青龍の表情がはっきり大きく映ってたのに、本で見ると、小っさ!(A5?)
ちょっとがっかりでした。
あと、話題のポニーテール姿。私は結構好きです。自然な感じがグ?。味がありますね。
でも、モンゴルで髷っていうのも、中々面白そうだなと思ったり。
そして、ページの前半はモンゴル編で、後半は日本での色々編?(稽古・土俵上での風景等)
になってるのですが、個人的に後半は普通でした。
なんか見慣れた風景だからかな、あまり惹かれませんでした。
でも、やっぱり、髷をゆってないプライベートな写真を載せるんだったら、
相撲とは関係ないタイトルで売った方がよかったような…?と思ったり…、
でも、このタイトルにしたもの、このタイトルで普段の自分を乗せようとしたのも
全部本人の意思でもあり、それが読者に伝えたかった事だったりするんでしょうね。
あとちなみに私は、基本的に写真しか見てないので、添えてある文章はまだ少ししか読んでません。
相撲うんぬんでもなく、朝青龍でもなく、写真のみの偏った感想ですみません…。 やくさんありがとう。感謝・感謝・・・朝青龍 朝青龍がやくさんを好きだと、テレビのインタビューで答えておりました。尤もだと思います。やくさんの重箱の隅を楊枝でほじくるような言動は、如何なものかと思われます。そんなことが、マスコミに取り上げられ、話題になり、そしてベストセラーになり、重版も決まったとの報道。朝青龍は、やくさんに足を向けて寝られなくなった。やくさんは、まさに内心忸怩たるものがあるに違いない。引退説がささやかれる中での出版であり、貴重な1冊になるに違いない。 読者の見識を問うすばらしい一冊 マスコミの偏向報道のせいですっかり悪者扱いされている朝青龍だが、今回のこの本でも、掲載されている写真のみが取り沙汰され、局所的に不当な非難をされている。しかし写真家の野村誠一が敢えてこの写真・対談本を出したことは、従来の旧態依然とした相撲界と、何も考えないに等しいマスコミの偏向報道へのアンチテーゼを越えた新しい真実の追究と構築にあるのだと、数ページをめくっただけでわかった。数多く盛り込まれた朝青龍との対談は素晴らしいの一語に尽きる。あれこれ言う前に、そこに記された朝青龍の言葉を噛みしめてほしい。日本人が本番で力を発揮できない理由がわかるだろう。あと5年もたてば、一つの歴史を塗り替えた記念碑として認識されているのではないかと思う。
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[ 単行本 ]
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みんなの大相撲―あなたの知らない力士たちのドスコイ生活 (ベストセレクト)
・田代 良徳
【ベストブック】
発売日: 2008-12
参考価格: 1,365 円(税込)
販売価格: 1,365 円(税込)
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・田代 良徳
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カスタマー平均評価: 5
相撲って‥ 大変なんだなーって思った。
けどほんとに俺ら普通のサラリーマンと全然違う生活してるのとか、
ほんと解りやすかった。相撲好きになった。
普段全然本とか読まない俺みたいなヤンキーでもすんなりと最後まで読めたし、
なんか相撲取りの恋話とか普段なに食ってるのとか興味あることばっかりだったからよかった。
続きがでるのかな?
出たらまた買いたいなって思います。
そんな感じ。
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[ 新書 ]
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力士の世界 (文春新書 603)
・33代木村庄之助
【文藝春秋】
発売日: 2007-11-16
参考価格: 746 円(税込)
販売価格: 746 円(税込)
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・33代木村庄之助
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カスタマー平均評価: 4
「行司の視点」から相撲の魅力を再認識 約50年間にわたって土俵を勤め続けてきた行司さんによる相撲入門。
相撲のルールや歴史などをわかりやすく解説しており、好角家には多少物足りなさも残るが、初心者にはとても楽しめる一冊だ。
あくまで知的で、慎重に言葉を選びながらも、本音が垣間見える語り口が魅力的だ。
「行司が土俵からはみ出したらかっこ悪い」
「引退間際の力士からは覇気が感じられなかったりもする」
といった文章に触れると、力士よりも行司に注目してみたくもなる。
このように多様な見方ができるというのが相撲の魅力でもあり、本書はそれを伝えてくれる良書である。
今、何かと話題の相撲界。
だが、マスコミが表面だけを見ていかに大騒ぎしようと、著者のような行司や呼び出し、その他大勢の良識ある大勢の人々が歴史を守り、守り立てていこうとしている以上、そうカンタンに潰れるものではないということを再認識した。 結構面白かった。 私の持論は、相撲は伝統芸能だというものです。だから様式美もあれば独特の仕来りもあるのです。あまりスポーツだと考えない方がいい。スポーツだと考えるからいろいろなことに腹が立つのです。それがこの本である程度裏付けられたと思います。知った話もあるが、その世界にいた人でないとわからないこともたくさん書いてあった。 相撲界というシステムを理解できる テレビで見ているだけでは知ることのできない相撲知識の宝庫。ただし木村庄之助という最高位の行司が出版するのなら、もっと深くて重い記述があってもよいかも。ただ単に相撲界にはこんなしきたりがありますよといった紹介文にとどまっている。相撲界が江戸時代からの伝統に基づいた精緻なシステムであることはよく分かりました。 相撲の見方が変わる本 企業が年功序列や終身雇用といった日本的価値観をどんどん手放している時代にあって、集団生活、弟子制度等、きわめて日本的な世界ともいえる相撲界の仕組みを知っておくことは、有意義なことではないかと思う。
本書では、行司として13歳で入門し、52年間相撲界に身を置き、行司の最高位まで登りつめた著者が、相撲界の仕組みをやさしく話してくれる。相撲の世界は単なる勝ち負けだけではなく、奥が深いことが分かってくる。 相撲裏方事情 行司の頂点を極めた著者による相撲紹介。まさにもっぱらの紹介で,著者が入門から定年までの間に経験した相撲界のしきたり・伝統とそれらの変遷をとくとくと語っている。
行司最高峰を極めた木村庄之助ともあろう方が筆を取ったというので,彼ならではの深い含蓄ある相撲文化観の披瀝されることを期待して読んだため,これなら内部の人なら誰でも書けそうで,少々がっかりさせられた読後感となった。同時期にフランスで,絵本Notes Sur le Sumo(L. Bruel & Risto)が,少ない言葉で,現代における相撲の伝統の意味・意義を戦後史の中に見事に位置づけ魅力的に描写して見せたのとあまりに対照的だ。
狭い角界の中の小さな話に終始するのではなく,行司生活で育まれた自らの生き様を,哲学を,この現在の世界の中にビシっと定位してくれる部分がいくらかでもあれば,と残念でならない。
もっとも,相撲裏方事情としてはあっさり読めてよろしい一冊。
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[ 単行本 ]
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大相撲力士名鑑 平成21年度
【ベースボール・マガジン社】
発売日: 2009-01-09
参考価格: 1,000 円(税込)
販売価格: 1,000 円(税込)
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カスタマー平均評価: 5
お相撲に興味のある全ての人へ☆ 本書には
各部屋ごとに所属する力士、親方、行司、呼出、床山の名前や
簡単なプロフィール
それに、十両以上の力士が化粧まわしをつけた写真や
昨年の各場所の結果などが掲載されています。
はじめのうち、目に入るのは
テレビでよく見る力士や親方ですが
しばらくすると、
気になり始めるのが
名前や顔を知らない若い行事や呼び出し、そして床山
10代の半ばで肉体的にも、精神的にも重圧の多いと思われる角界
しかも、その裏方になることを決意し
日々努力をしている人たち
あるいは、長年裏方として
自らの職責を果たしてきた方々
こうした人々のことを思うと
目頭が熱くなります
そしてそれだけに、
この本にも立派な化粧回しをつけた写真が、掲載されているにもかかわらず
くだらない理由で相撲界を去る人がいることが
本当に悲しく感じました
ちょっとでもお相撲がある方には
まさに必携といえる本書
この本があれば、
今年一年間のお相撲を、いっそう楽しむことができますよ☆☆
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[ 新書 ]
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女はなぜ土俵にあがれないのか (幻冬舎新書)
・内館 牧子
【幻冬舎】
発売日: 2006-11
参考価格: 819 円(税込)
販売価格: 819 円(税込)
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・内館 牧子
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カスタマー平均評価: 4
内館氏の研究の成果を著す良書 内館氏は幼少の頃から大相撲が好きで横審にまでなられたことはつとに有名です。その内館氏が大学に入って相撲の歴史の研究の成果を纏めて上梓したのが本書です。
内館氏は女人禁制を破るのは反対の立場だというのは周知のことと思います。それを、男女平等に反するとして女も土俵に上げさせろというのが女の議員達です。その婦人議員達は女同士でグループを作り女性の為に何かをしようという議員が多く、何でも女性の味方でそうするのが当然という女性にだけ票を入れられたような感じのする政治家ですが、このような人達に比べ内館氏の様な同性に疎まれても異性の尊重すべきは尊重するという姿勢です。こういった人こそ真の男女平等の出来る人で、今の婦人議員らは女尊男卑主義者と思われても仕方ありません。これからの時代内館氏のようなタイプの方が多く現れると社会が成熟すると思います。
尚本書は女はなぜ土俵にあがれないのかという題ですが、それ以外にも相撲通でも初めてしるような相撲の歴史が著述してあり、改めて伝統文化としての相撲を知ることが出来ると思います。 相撲界の現状を浮き彫りにする 土俵に女が上がるべきではない背景を,多角的に考察した修士論文の再編集。
いろいろな人の説を,羅列的に並べただけで,著者の考察の軸が,歴史にあるのか,社会学的にあるのか,文化/社会人類学的にあるのかがぼやけたままなものの,著者自身の問題意識がハッキリしているので,ひとつのまとまりは確保されている。ただ,習俗や世論の形成についての一般概念の理解があまりに浅く,意義ある議論にまでは到達できていない。と,このように,まさに修士論文のレベルで,研究としては三流のレベルを超えない。
が,しかし,それでもなお本書が読まれる価値が十二分にあるのは,この程度の論にさえ,相撲協会はまともに同意も反論もできないだけしか自らのあり方を考究してこなかったことを,露呈させるからであり,著者は横綱審議委員としてきわめて重要な仕事を果たしたといえよう。
とはいえ,人文学の素養ある者が本著者の意志を受けて,一生を賭けて相撲を本格的研究対象としたくなるような魅力が,今の大相撲界にあるかといえば疑問である。相撲ファンとしては,本書がきっかけとなって,大相撲研究にかすかな灯火でも点らんことを願わずにはいられない。
そんな意味でとても重要な一冊。さすがに読みやすい。
伝統とグローバル・スタンダード 現在ある相撲の形がどのように形成されたかを述べた著書です。
恐らく力士たちでも知らないと思え、角界関係者及び力士の方々は
一度読んでみることをお勧めします。
土俵にあがれる状態とは、どういうものであるかが分っていれば、
力士の仕事が何であるか、また何をあげてはいけないのか、
いつだったら誰でもあがれるのか全てハッキリします。
内館さんは、女性があがれないのではないと言っています。
不正をしたり、クール・ビズ姿の男性政治家も本来あがってはいけない。
土俵に神が降臨する期間、土俵上は結界となるため、
制限や規則が生じるからです。
力士たちは、そのルールを守ったうえで土俵にあがっている。
読んでいると「グローバル・スタンダード」や「差別」といった意識は、
伝統や地域限定の突起した特異性をつぶし、
ブルドーザーのように平たくならしている部分があるように感じます。
合格しないとこの門をくぐってはいけない
優勝しないとこの台にあがってはいけない
そんな制限を人は日常的に受け入れて守っている。
人が守るからこそ、そこは神聖な場所ともなり、結界となりうる。
力士が土俵を守っているのではなく、全ての人が守るルールのうえで、
土俵は神聖なものになるのです。 男でも女でも、本場所の土俵には上がってみたいのでは。 女性初の横綱審議委員である内館牧子氏が日経新聞の夕刊に連載されていた相撲に関する随筆は感心させられるものだった。特に「その通り」と膝を叩いたのはクールビズ姿での総理大臣杯授与を行った官房副長官と相撲協会批判であった。横綱審議委員という立場から協会寄りの発言をされるのかと思いきや、一刀両断のもとに両者を切り捨てた意見は見事であった。その氏の考えがまとまったものを読んでみたいと思っていたので、本書を見たときには迷わず手にした。
クールビズも問題であったが、その前に物議を醸し出したのは女性の官房長官や大阪府知事が優勝力士の表彰式において土俵に上がる、上がらないということで揉めたことである。
ふと、そういえばと考えてみれば、何故、女性が土俵に上がってはいけないのか、その理由はまったくわからなかったし、知らなかった。世間一般でいえば、「女はご不浄もの」ということで片付けてこられたが、男から人が生まれたとは聞いたことも無く、ご不浄といわれる女から生まれた男もご不浄ものである。
さすれば、土俵に女が上がる、上がらないという問題の論点は別のところにあるのではと思い到る。
優勝力士に優勝杯、友好杯、自治体や企業からの賞品が延々と授与される様がテレビでも放映されるが、かつてパンアメリカン航空極東支配人は外人でありながら紋付き袴、ときには開催場所の方言で表彰状を読み上げて観客を沸かせたものだった。なごやかなものであり、稚気に富むものであった。
推論だが、女性が土俵に上がって優勝杯を渡したいというのはある意味、稚気ではないかと思える。男ですら、一度は本場所の土俵に立って、神妙な面持ちの力士と同等の目線からほんの少し優位に立って杯を授けたいと思う。男性優位社会において力量を発揮した女も男に勝ちたいとか、より優位に立ちたいというよりも本音は茶目っ気から「やってみたい」と思える。
内館氏は東北大学の大学院で相撲についての研究をされてきたが、その研究の成果の披露にも似た内容が出ている。女と土俵という話題性のある読み始めから徐々に徐々に読み応えのある内容にと変化しており、最終的には自身の考えを述べられているのは論文の結を読んでいるかの如きだったが、感情的にならず、差別と区別を解った上で協会への苦言を呈されたのは良かった。
確かに、表彰式は内館氏が言うところの土俵の結界を解いてから行うべきだろう。そうすれば、聖も俗も関係はなくなり、クールビズだろうが女性だろうが、問題を起こした人物だろうが関係なく土俵にあがることはできる。これは名案と思うが、果たして相撲協会はどう考えるだろうか。
知らないことを知るのは楽しいです 週刊誌の連載で著者が楽しそうに東北大学の大学院で学んでいる様子を、いいものだなぁと読んではいましたが、その研究の中身は
「土俵に女は上がれないことの学問的裏づけをする」
以外は知りませんでした。
本書はその修士論文の内容を平易に解説したものです。
読んで驚きました。
主義主張の本ではありません。
相撲の成り立ちと神とのかかわりを始めに解き明かします。
それから、大相撲成立後の相撲の元締めたちの「ビジネスセンス」が解き明かされます。
読んでいて、「相撲ってやるじゃん」と驚きました。
そこから、女性がなぜ関わってこれなかったのかに言及します。
伝統を愛しながら、男女の不平等を無視しないことはとても難しいことです。
著者は男のみで成り立ってきた相撲の世界を愛しています。
その上で女性が土俵に上れないのはおかしいと言う異議申し立てに反発します。
けれども、神事、伝統の一点張りで女性が土俵に上がれないとする相撲協会の反論にも納得しません。
どのように双方の距離は詰められるのか、わくわくしながら読みました。
最後に著者は着地点を見出すことが出来ました。
その提案は、相撲協会も検討するに値するのではないでしょうか?
組織に、組織外の熱心なファンが参加することっていいですよね。
相撲協会の未来に幸あれ。
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[ 単行本 ]
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土俵の真実―杉山邦博の伝えた大相撲半世紀
・杉山 邦博 ・小林 照幸
【文藝春秋】
発売日: 2008-05
参考価格: 2,100 円(税込)
販売価格: 2,100 円(税込)
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・杉山 邦博 ・小林 照幸
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カスタマー平均評価: 0
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[ 単行本(ソフトカバー) ]
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大相撲の魅力 -相撲アナが語りつくす-
・銅谷 志朗
【心交社】
発売日: 2009-05-01
参考価格: 1,575 円(税込)
販売価格: 1,575 円(税込)
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・銅谷 志朗
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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大相撲の経済学 (ちくま文庫)
・中島 隆信
【筑摩書房】
発売日: 2008-03-10
参考価格: 714 円(税込)
販売価格: 714 円(税込)
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・中島 隆信
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カスタマー平均評価: 5
分析的視点は汎用的かも 部屋制度から八百長疑惑まで、大相撲にかかわるあれこれを、経済学的な観点から
記述した一冊。
個人的で狭い見聞の範囲ながら、社会を記述(に徹し、それ以降は読んだ側に任せるし
かないわけですが)する著述は、本来その責務にあると自負するハズの社会学の分野から
のものは、どれもこれもダメダメで、社会学からすれば部分的で限定的な課題を担っている
ハズの、隣接分野からのものに優れたものが多い印象。あるいはお医者さんとか技術屋さ
んとかコンサルさんとかSEさんとか、もっと実務に近い分野から出される記述と分析と提案
に、説得力のあるものが多い印象。
本書も生産性分析などで実証的なガッチリした業績のある経済学者による一冊。
なんででしょね?
ともかく、たいへん面白く、いろいろ考えさせられます。
お相撲さんたちの給与の2階層性とか年寄株の需給関係の話とか、もちろん特殊業界た
るお相撲の世界でのことではありながら、昨今のホワイトカラーなんとかや後期高齢者かん
たらの背景になっている全般的な景気の低迷と財政的困難へも示唆に富むのではないか
・・・というのは、半分以上冗談ですが、少なくとも別様の制度的オルタナティブを考案して
いくにあたって、参考にはなるのでは。
あと、八百長の話など、何というのか、最近は社会学方面ではとみに評判の悪い機能主
義ですけれども、無内容な理念でコトを談じるのではなく、それ(よしんば道徳的には「悪い
コト」であっても)が、どういった「機能」を世の中に対して担っているのかを吟味することは、
やはり大事だと思わされた次第。
できれば分析方法について、もう少し詳しく書いてほしかったかも。 大相撲がよく分かる良書 相撲を単なるスポーツと捉えると、大男がもみ合っているだけで、そしてすぐに勝負がついてしまうという点で、他のスポーツと比べ面白さという点では劣るだろう。それなのに、大相撲が長い歴史を経て継がれてきているのは、他の要因が大きい。それは歌舞伎や茶道のような、伝統文化の要素である。
従って、師弟の関係や、チケットの販売方法、力士の給与体系など、相撲協会は全般に独特のシステムで守られている。本書は、全体として、そういったシステムの理由と功罪が考察されている本だと言えると思う。朝青龍騒動や時津風部屋で生じた事件についても、本書で述べられている理論からその背景を鋭く説明できるあたり、よくまとまっている本であると感じた。
舞の海氏の解説も率直で良い。
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[ 新書 ]
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相撲道とは何か (ロング新書)
・大鵬
【ロングセラーズ】
発売日: 2007-11
参考価格: 950 円(税込)
販売価格: 950 円(税込)
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・大鵬
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カスタマー平均評価: 4
教科書にもなり、小咄ネタにも使える 最近の相撲界には実に嘆かわしい事件が相次いでおり、オールド・ファン(?)としては淋しい限り。
本書は、元横綱・大鵬が監修をしている。日本古来の伝統ある競技に半生を捧げた大横綱の誇りがそこここに感じられる。
残念なのは、本文を誰が構成し執筆したか判然としないこと。そのためか、エピソードの並べ方などにちょっと不自然さがある。気にしなければ気にならないだろうが。
「道」「品格」などと言うと、最近は何かにつけ「クサい」「ウザい」と打ち捨てられ、粗末にされる傾向が強い。たしかに鼻につくかもしれない。“神事”を執り行う相撲界の一種特殊な考え方を、全て正道だと断じるつもりもない。だが、人が人として恥ずかしくない生き方をするための常識のひとつと、耳を傾ける素直さや謙虚さは持つべきではなかろうか。
崩壊しかけている相撲界の、新弟子、兄弟子、親方衆、誰も一度は教科書としてお読みになってはいかがか、と思う。
「道とは」というお堅い題名に似合わず(?)、トリビアとも言えるユニークなエピソードも多く盛り込まれている。「控え力士が物言いをつけてもよい」マルかバツか。「両国国技館には焼き鳥工場がある」事実だが、なぜ焼き鳥なのかわかりますか?
好きな相撲を見る眼が本書で少しでも変わり、相撲への関心がさらに高まれば、桟敷席としてはそれでいいのではないか。題名にビビらず(?)、気楽に楽しみたい。
偶然だろうが、同時期に行司さんも本を出している。読み比べも一興だ。
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