読者に対して問いかけるような文章も多く、私自身、プロレスの試合やレスラーに関する素朴な疑問が多く解消されました。
ぜひオススメしたい本です。
無茶苦茶えげつない所まで、フィクションと断りながら「暴露」しています。
しかしながら、著者の「プロレス」に対する溢れんばかりの愛情、その愛情ゆえの「暴露」であることは、ひしひしと伝わってきます。
「格闘技」ブームの昨今、
プロレスの進む一つの道を照らし出している、そんな1冊です。 これでプロレスの意義は定まった。再生を期待するプロレスをショーだとカミングアウトしたミスター高橋の、文庫3冊目である。ここでは主としてブッキング(対戦カードの決定)の秘密を語る。また、選手間・団体間抗争などのストーリー作りについても言及する。私は彼の考え方に基本的に賛成であり、プロレスはショーとして観戦すべきだと考えるが、世の中には、夢を壊されたことに対する怒りも相当あるようだ。
しかし、欺瞞が永久に通用する、と信じること自体に無理がある。冷静にプロレスを鑑賞したい人には、彼の著作はいずれもおそらく必読であろう。
彼の3冊の著作により、私がプロレスについて持っていた、かねての疑問点の大方は解消したように思う。そんな私に唯一まだわからないのは、ルー・テーズがグレート草津を失神KOした試合である。テーズが勝つのは当然としても、草津はテーズと好試合を行うことによって、その後国際プロレスのエースとして売り出されるはずであった。団体の存亡を賭けた一戦がこのような情けない結末になった理由が、私にはわからない。単にテーズが提示条件をのまなかった(あるいは、国際プロレスにもはやそれだけの力がなかった)、ということなのだろうか。